親子で感じる絵本のちから

親子で楽しむ絵本の時間。今はまだ幼くて、お話を純粋に楽しんでいるだけかもしれませんが、その経験は子どもたちの心を豊かにし、かけがえのないものとして積み重なっていくはずです。
そんな幼児期の今だからこそ、読み聞かせてあげたい良書を“絵本のプロ”に聞きました。
取材・文/佐野恵子

言葉

「ことばあそびうた」(3才~)

谷川俊太郎/詩 瀬川康男/絵福音館書店

「かっぱかっぱらった/かっぱらっぱかっぱらった/とってちってた」。日本語の面白さがあふれて、言葉の響きやリズムを体いっぱい感じることができる1冊。言葉って楽しいな!と言葉の持つ力を何度も味わいたくなります。

(あっぷっぷ・三角さん)

「リズム」(0才~)

真砂秀朗/作・絵三起商行(ミキハウス)

アフリカのオノマトペ(擬音語)をモチーフに作られた赤ちゃんからの絵本。日本語にはない言葉の楽しい響きに親子で触れてみては?赤ちゃんにとってオノマトペをたくさん聞くことは効果的で、ワンワン(犬)やブーブ(車)などの発語につながっていきます。

(柴田さん)

「てのひらおんどけい」(3才~)

浜口哲一/文 杉田比呂美/絵福音館書店

お散歩中、大好きなお父さんのそばで、様々なものを触りながら「あったかい」「つめたい」を確かめるように繰り返す子ども。言葉とは、家族との優しい時間の中で育まれ、染みこんでいく…そんなことに気付かせてくれる絵本です。

(からすのほんや・芳野さん)

「しつもんおしゃべりさん」(幼児~)

さいとうしのぶ/作・絵リーブル

普段はおしゃべりできないものが、いろんな質問をします。答えやすい質問なので、話題が広がります。最近、自分の言葉で気持ちを表現できない子どもが増えています。この本を読み聞かせすることで、コミュニケーション能力が高くなります。

(エルマー・前園さん)

「ドロップロップ」(3才くらい~)

村山早紀/作 杉田比呂美/絵佼成出版社

赤はいちご味、朝焼けの色。だいだい色はオレンジ味、おうちにともる灯りの色…。詩的な表現で大人向けのように思えますが、この絵本がお気に入りで繰り返し読んでいる3才児さんは、抒情的な表現を覚え、日常の中で使うようになりました。

(ビブリオキッズ・安藤さん)

共感する心

「おめでとう」(0才~)

茂田井武/絵 広松由希子/文講談社

全ページにわたり、誰かと誰かが「おめでとう」のご挨拶。黒いうさぎと白いうさぎを始め、いろんな国の民族衣装をまとった人たちが自分との違いを認め、握手して挨拶を交わします。最後の見開きには様々な国の人が描かれ、幼児の多文化理解にも繋がります。

(ビブリオキッズ・安藤さん)

「くんちゃんとふゆのパーティー」(3才~)

ドロシー・マリノ/作・絵 あらいゆうこ/訳ペンギン社

辺り一面雪に覆われてしまい、食べ物に困る動物たちのために、家にあった物でパーティーを開くことにしたこぐまのくんちゃん。就学前の子ども達には、くんちゃんの行動力や考え方はとても親しみやすく、シリーズで読むのも楽しいでしょう。

(柴田さん)

「チャーリーのはじめてのよる」(幼児~)

エイミー・ヘスト/文 ヘレン・オクセンバリー/絵 さくまゆみこ/訳岩崎書店

雪の日、出会った子犬にチャーリーと名付けたヘンリー。心細そうなチャーリーを安心させようと抱きかかえるヘンリーの姿に温かい気持ちになります。男の子の愛情があふれ、他者を大切にする気持ちが感じ取れます。

(あっぷっぷ・三角さん)

「くろくんとちいさいしろくん」(3才~)

なかやみわ/作・絵童心社

くれよんのくろくんシリーズの新刊。ちいさくてしろいくれよんが迷子になって困っています。くろくんの優しさや思いやりが他のくれよんたちを動かし、しろくんを助けようと、みんなで力を合わせて頑張っていく姿が描かれています。

(エルマー・前園さん)

「ぎゅっ」(0才~)

ジェズ・オールバラ/作・絵徳間書店

こざるのジョジョがひとりで森を歩いていたときのこと。ぞうやへびの親子がみんなぎゅっとハグしているのを見るうちにママが恋しくなってしまいます。大好きな人からぎゅっとしてもらう嬉しさを絵本と一緒に味わいたい1冊です。

(あっぷっぷ・三角さん)

想像力

「きもち」(4才~)

谷川俊太郎/文 長新太/絵福音館書店

途中までは文章がなく、自分の中に生まれては消えるいろんな「きもち」を考えます。お友達に意地悪をしてしまった時の気持ち、仲直りした時の気持ち…。「どんな気持ちかな?」と絵を見て親子で想像しながら、読み聞かせてほしいです。

(エルマー・前園さん)

「くんくん、いいにおい」(2才くらい~)

たしろちさと/絵グランまま社

子どもが毎日の生活の中で感じるにおい。焼きたてのパンのにおい、ご飯の炊けるにおい、洗濯物のにおい…。においを想像するなんて、なんとも楽しい発想です。家族でお風呂に入ったり、公園で遊んだり、毎日の生活と重ねて想起できるしかけが素敵。

(ビブリオキッズ・安藤さん)

「おひさまがいっぱい」(3才~)

よだじゅんいち/詩 ほりうちせいいち/画童心社

春の暖かい日差し、柔らかに髪を揺らす優しい風、ふんわりと頬を撫でるレースのカーテン、小さな動物たちの声、そして夜の暗闇…。自然豊かな景色や日常の風景がたくさん描かれています。実体験をベースに想像を膨らませることができる良書です。

(からすのほんや・芳野さん)

「もこもこもこ」(幼児~)

谷川俊太郎/作 元永定正/絵文研出版

「しーん」「もこ」「にょきにょき」と何かが出てきて、お話が始まります。言葉の響きや、抽象的な絵から広がる世界。子どもたちはそれぞれ、いろいろな想像をしながら楽しんでいます。

(あっぷっぷ・三角さん)

「このあいだになにがあった?」(4才~)

佐藤雅彦/作 ユーフラテス/作福音館書店

並んだ2枚の写真からその間に起こった出来事を推理していく絵本写真。「あいだ」を想像する楽しさを味わえます。作者は E テレ『ピタゴラスイッチ』の監修でもおなじみ。みんなで読んでも盛り上がります。

(柴田さん)

「どんなおと?」(2才~)

tupera tupera/作・絵教育画劇

手をたたく音、はみがきの音など、生活体験からすぐに答えられる音から、「ムカデの拍手」「太陽が吹っ飛んだ音」などユニークな音も。「どんなおと?」と質問されたとき、個性あふれる答えが出るでしょう。いろんな音を想像しながら楽しめる絵本です。

(ビブリオキッズ・安藤さん)

諦めない力

「ぼく、ひとりでいけるよ」(5才~)

リリアン=ムーア/作 ジョーヤ=フィアメンギ/絵 神宮輝夫/訳偕成社

あらいぐまの子どもが初めておつかいに行きます。初めての経験で怖いけど、いろんな動物の優しい言葉や励ましで一歩一歩前に進むことができます。諦めない力を身につけるためには、他の人の支えが必要だということを教えてくれます。

(エルマー・前園さん)

「時計つくりのジョニー」(5才~)

エドワード・アーディゾーニ/作 あべきみこ/訳こぐま社

ジョニーは手先が器用な男の子。自分を信じてコツコツと大きな時計を作る決意をします。周りから無理だと言われたり困難にぶつかったりしても、目標に向かって努力し、それを達成する姿から「諦めない」ことの大切さが伝わる1冊だと思います。

(柴田さん)

「だいじょうぶ だいじょうぶ」(5才くらい~)

いとうひろし/作・絵講談社

小さな僕が不安になると、いつもおまじないの言葉で助けてくれたおじいちゃん。「だいじょうぶ」という言葉は、今の自分をありのまま受け止め、認めてくれる言葉。それを力に、子どもたちは、次の一歩を踏み出すのかもしれません。

(からすのほんや・芳野さん)

「みずたまりぴょん」(2才~)

エマ・クエイ/作 アナ・ウォーカー/絵 まえざわあきえ/訳ひさかたチャイルド

失敗することが怖かったり、恥ずかしかったりして挑戦できないでいる子どもたちに「失敗しても大丈夫」ということを教えてくれます。失敗しても、何回でもチャレンジできることを教えたいですね。

(ビブリオキッズ・安藤さん)
※図書館などでお探しください

自分を認める力

「ちいさいわたし」(幼児~)

かさいまり/さく おかだちあき/えくもん出版

まだまだできないことが多い子どもたち。本当はできそうなことも、勇気が出なくて、もどかしい気持ちを抱きながらも頑張っています。「今は、その途中」だと、自分で思えたら、ゆっくり色んなことに挑戦できると思います。

(ビブリオキッズ・安藤さん)

「はちうえはぼくにまかせて」(3才~)

ジーン・ジオン/さく マーガレット・ブロイ・グレアム/え 森比左志/やくペンギン社

夏休み、少年トミーは旅行に出かける近所の人たちの鉢植えを預かることに。上手に世話をしたので植物はどんどん成長し、近所の人たちに喜ばれたトミー。自分でやることの嬉しさや達成感を味わい、自分を認める気持ちが芽生える1冊です。

(あっぷっぷ・三角さん)

「わたしとなかよし」(3才~)

ナンシー・カールソン/さく なかがわちひろ/やく瑞雲舎

人付き合いの第一歩は自分を好きになること。自分の良いところを見つけ、自分を大切にすることを教えてくれます。お母さんの自尊感情が高いと、子どもは自分を認められるようになる。親子で一緒に読んでほしいなと思います。

(エルマー・前園さん)

「しょうぼうじどうしゃ じぷた」(4才~)

渡辺茂男/作 山本忠敬/絵福音館書店

ちいさな「じぷた」が山火事で活躍するラストでは、みんなそれぞれ得意分野があって活躍できる場がある、ということを教えてくれます。1966年の初版からロングセラーとして こどもたちの支持を受け続けている絵本です。

(柴田さん)

選んでくれたのは…

子どもの本専門店エルマー

(春日市春日原東町)

代表・前園敦子さん
心に残る本との出会いを大切に、絵本の紹介や子育ての講演会の講師も務める。
絵本の店あっぷっぷ

(太宰府市大佐野)

店長・三角綾さん
絵本の販売の他に週に2回のお話会、絵本の原画展や楽しいフェアも企画。
子どもの本とおもちゃの専門店 からすのほんや

(飯塚市長尾)

店主・芳野仁子さん
本選びは予約制で1日限定3組。子育て講座の講師や雑誌、新聞でコラムを執筆。
国立青少年教育振興機構 認定絵本専門士
柴田香さん
福岡市で初めての絵本専門士。幼稚園・保育園などで絵本の講座やワークショップも開催。
絵本と図鑑の親子ライブラリー ビブリオキッズ

(福岡市南区大橋)

司書・安藤宣子さん
本誌「親子の絵本時間」コーナーを担当。市内の公民館などで読み聞かせ講座の講師も。

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